知育

ベンジャミン・バニーのおはなし【全文読み聞かせ・音声つき】

著作権が切れた原書から当サイトが新しく訳した「ベンジャミン・バニーのおはなし」全文を、原書の絵と朗読音声つきで読み聞かせできます。ピーターラビットの続きのおはなしです。

公開日: 2026/7/10

ベンジャミン・バニーのおはなし 原書イラスト
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「ベンジャミン・バニーのおはなし」(ビアトリクス・ポター作、1904年)は、ピーターラビットのおはなしの続きにあたる作品です。作者の没後70年以上が経ち、原書の文章と絵の著作権が切れているパブリックドメイン作品なので、このページでは原書から当サイトが新しく訳した全文を、ポター自身が描いた原書の絵と朗読音声つきでお届けします。訳文は1〜3歳への読み聞かせを想定して、短い文のリズムにしています。

かかしにされてしまったピーターの服を、いとこのベンジャミンと取り返しに行くおはなしです。前作を知らなくても楽しめますが、ピーターラビットのおはなしから聞くと、つながりがわかってより楽しめます。じっと座って聞ける長さではない日もあるのが自然なので、途中でやめても大丈夫です。

音声で聞く(朗読)

朗読音声ファイルを直接開く(AI音声で生成した朗読です)

おはなし本編

あるあさ、小さなうさぎが、土手にすわっていました。ぴくっと耳を立てて、耳をすまします。ぱかぽこ、ぱかぽこ。ポニーのひづめの音です。馬車がやってきました。乗っているのは、マグレガーさんと、よそいきのぼうしをかぶった奥さんです。

土手にすわって耳をすます小さなうさぎ

馬車が通りすぎると、小さなベンジャミン・バニーは、するりと道におりました。ぴょん、ぴょん、スキップ。しんせきのおうちへ、おでかけです。しんせきは、マグレガーさんの畑のうらの森に、すんでいました。

道におりて出かけるベンジャミン

その森は、うさぎのあなだらけ。いちばんきれいで、すながさらさらのあなに、ベンジャミンのおばさんと、いとこたちがすんでいました。フロプシー、モプシー、カトンテール、そしてピーターです。おばさんは、うさぎの毛糸でてぶくろをあんで、くらしていました。ハーブや、ローズマリーのお茶も売っていました。

森のあなでくらすおばさんといとこたち

ベンジャミンは、おばさんには、あまり会いたくありません。もみの木のうしろを、こっそりまわっていくと——どしん!いとこのピーターに、ぶつかりそうになりました。

もみの木のうしろをまわるベンジャミン

ピーターは、ひとりぼっちで、すわっていました。なんだか、元気がありません。着ているのは、赤いハンカチ1まいだけ。

赤いハンカチにくるまってすわるピーター

「ピーター」と、ベンジャミンが、そっとききました。「服は、どうしたの?」。ピーターがこたえます。「マグレガーさんの畑で、かかしになってるんだ」。畑で追いかけられて、くつも上着も、おとしてきたのです。ベンジャミンは、ピーターのとなりにすわって、言いました。「マグレガーさんは、奥さんと馬車でおでかけしたよ。よそいきのぼうしだったから、きょうは、ぜったい帰ってこないよ」

ならんで話すピーターとベンジャミン

ピーターは、「雨がふるといいなあ」と言いました。あなの中から、おばさんの声がきこえます。「カトンテール!カモミールを、とってきてちょうだい!」。ピーターは言いました。「さんぽしたら、元気が出るかも」

元気のないピーターとはげますベンジャミン

ふたりは、手をつないで歩きだしました。森のはずれの、へいの上にのぼります。見おろすと、マグレガーさんの畑。かかしには、ピーターの上着とくつ。マグレガーさんの古いぼうしまで、のっかっています。

へいの上から畑のかかしを見おろすふたり

ベンジャミンが言いました。「門の下をくぐると、服がだめになるよ。なしの木をつたって、おりるのがいいんだ」。ピーターは、あたまから、すってん!でも、だいじょうぶ。下の畑は、たがやしたばかりで、ふかふかでした。レタスのたねが、まいてありました。

なしの木をつたって畑におりるふたり

畑のあちこちに、小さな足あとが、ぺたぺた。とくにベンジャミンは、木ぐつをはいていたので、くっきりです。

畑にのこった小さな足あと

ベンジャミンは言いました。「まずは、ピーターの服をとりもどそう」。ふたりは、かかしから服をとりました。夜のうちに雨がふったので、くつの中には水がたまって、上着は、ちょっとちぢんでいました。ベンジャミンは、ぼうしをかぶってみました。大きすぎました。

かかしから服をとりもどすふたり

ベンジャミンは、いいことを思いつきました。「ハンカチに玉ねぎをつめて、おばさんへのおみやげにしよう」。でも、ピーターは、ちっとも楽しくありません。へんな音が、きこえる気がするのです。

ハンカチに玉ねぎをつめるふたり

ベンジャミンは、へっちゃらです。レタスの葉っぱを、ぱくり。「ぼく、おとうさんと、いつもここへレタスをとりにくるんだ」。レタスは、それはそれは、おいしそうでした。

レタスを食べるベンジャミン

ピーターは、なにも食べませんでした。「もう、おうちに帰りたいよ」。そのうち、玉ねぎを半分、ぽろぽろ、おとしてしまいました。

玉ねぎをおとしてしまうピーター

ベンジャミンが言いました。「にもつを持って、なしの木はのぼれないよ」。そして、どうどうと、畑のおくへ歩いていきます。日あたりのいい、赤いレンガべいの下を通りました。ねずみたちが戸口にすわって、さくらんぼのたねを、かりかり。ピーターとベンジャミンに、ウインクしました。

レンガべいの下を歩くふたりとねずみたち

ピーターはまた、ハンカチを、おとしてしまいました。

またハンカチをおとすピーター

うえきばちや、木箱のあいだにきました。へんな音は、ますますきこえます。ピーターの目は、まんまるに。そのとき、ピーターは、ぴたりと立ちどまりました。

うえきばちのあいだで立ちどまるピーター

かどのむこうに、見えたのは——ねこ!ベンジャミンは、ひとめ見るなり、大いそぎ。ピーターと玉ねぎといっしょに、大きなかごの下に、かくれました。

かどのむこうにいたねこ

ねこは、のっそり立ちあがって、のびをひとつ。かごに近よって、くんくん。玉ねぎのにおいが、気に入ったのかもしれません。なんと、かごの上に、どっかりすわってしまいました。

かごの上にすわってしまうねこ

ねこは、5時間も、すわっていました。かごの中は、まっくら。玉ねぎのにおいで、目もいたいほど。ピーターとベンジャミンは、なみだが出てきました。お日さまが森のむこうにまわっても、ねこはまだ、すわっています。

かごの上のねことかくれるふたり

そのとき。ぱらぱらっと、へいの上から、かべのかけらがおちてきました。ねこが見あげると——ベンジャミンのおとうさんが、へいの上を歩いてくるではありませんか。むすこを、さがしにきたのです。

へいの上を歩いてくるベンジャミンのおとうさん

おとうさんは、ねこなんて、ちっともこわくありません。へいの上から、えいっと、ねこの上にとびおりました。ねこをかごからはらいおとして、温室へ、ぽーん。ねこは、びっくりして、ひっかくのもわすれるほどでした。

ねこにとびかかるおとうさん

おとうさんは、温室の戸に、かぎをかけました。それから、かごの中のベンジャミンを、耳をつまんで、ひっぱりだしました。「めっ!」と、おしりをぺしぺし。つぎに、おいのピーターも、ひっぱりだしました。

かごからひっぱりだされるベンジャミン

さいごに、玉ねぎのつつみをとりだして、すたすたと、畑から出ていきました。

玉ねぎのつつみを持って畑を出ていく親子

30分ほどして帰ってきたマグレガーさんは、首をひねりました。畑じゅう、小さな木ぐつの足あとだらけ。「それにしても、ちいさすぎるぞ?」。それに、ねこがどうやって、温室の中から、外がわのかぎをかけたのでしょう?

畑で首をひねるマグレガーさん

ピーターがおうちに帰ると、おかあさんは、ゆるしてくれました。くつと上着をとりもどしてきたのが、うれしかったのです。カトンテールとピーターは、ハンカチをたたみました。おかあさんは、玉ねぎをひもでつるして、台所の天井にかざりました。ハーブのたばと、いっしょに。おしまい。

おうちで玉ねぎをつるすおかあさん

出典と権利について

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このおはなしは、市販の「ピーターラビットの絵本」シリーズ(福音館書店)の3冊セットにも収録されています(「ピーターラビットのおはなし」「ベンジャミン バニーのおはなし」「フロプシーのこどもたち」の3冊組)。読み聞かせで反応がよかったら、紙の絵本を手元に置くのがおすすめです。

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